ガバガバ思考体系

主に野球について、特に巨人に関して、ガバガバな考えを述べていくブログ

vs 中日 ●4-6 今日の継投に関する誤解について

書きたいことがあったので

 

今日は梅津のナイスピッチングとビシエドのハードキャリーに負けた。しかしその中で3人の投手を試すことができたのが収穫だったと思う。

 

しかし、今日の試合の感想で「昨日今日でこんな総力戦みたいな継投をしていて今後大丈夫か?」みたいな声があがっているのを見て驚かされた。中日ファンが内部事情も理解せず適当に言ってるんだろうな、ぐらいにしか捉えていなかったが、巨人ファンまで言っているのには、いやちょっと待ってよ、となった。

 

原監督の立場になって考えてほしいが、昨日今日で先発が早い段階で降りて、どうやって投手を使わずに乗り切れるというのか?

 

彼らは、堀岡宮國藤岡が2イニングずつ投げればよかったじゃん、と言いたいのかもしれないが、今日昇格で状態が見えない堀岡はともかくとして、今の宮國と藤岡にそれを期待するのはあまりに皮算用が過ぎるし、答えは結果で明らかになっただろう。宮國も藤岡もなぜ今まで僅差で出てこなかったのかが理解できるような投球をして、鍵谷、澤村、果てはデラロサまで投げさせることになった。

 

いやピンチになっても宮國と藤岡を変えるなよ、というのであれば、あの状況で宮國と藤岡を続投させて、もし打たれた時にあなたは「しょうがない」と言えるのか?

 

もし今日を完全な捨て試合にするのであれば、宮國と藤岡を規定のイニング投げさせただろう。しかしプロ野球はエンターティメントであり、ファンあってのものということになっている。そんな中で明らかな捨て試合を作ることができるのか?特に全国で最もファンが多い巨人という球団でそれができるのであれば大したものである。

 

そういったことを考慮にいれれば、原監督はうまく捨て試合であることを隠したな、と思う。「昨日今日でこんな総力戦みたいな継投をしていて今後大丈夫か?」というファンがいることがその証明だ。

 

原監督が今日本当に勝ちに行くのであれば、堀岡、宮國、藤岡を投げさせることはなかっただろうし、そもそも原監督が勝ちに行く時、シーズン終盤、ポストシーズンにおいて、宮國や藤岡のような現状僅差で投げられるのか不安が残る投手を1軍に残しておく、ということはありえない。

 

俺も原監督が去年再々就任するまで、あまり理解していなかったことなのだが、原監督は積極采配ばかりが目立っているものの、ちゃんと先を見据えて戦っているのである。

 

毎年の打線、今年も1番をコロコロいじっていることからも分かる通り、原監督は中盤までチームの形を固定しない。色々試していきながら、そのシーズンごとにベストな形を見つけて、それで戦っていく、という運用をしている。去年のリリーフ陣の変遷もそれを如実に示していただろう。誰があのシーズン開幕の陣容からポストシーズンの陣容を予想できたのか?

 

俺はこのブログで幾度となく言っているが、ペナントレースは全勝しなくても、勝率5割6分程度あれば優勝できるのである。逆算すれば、今シーズンであれば50試合は負けられるし、原監督はこれを念頭においた運用をきちんと行っているように見える。この50試合をどのようにうまく使って負けるのか、ということが重要であり、今日は現状敗戦処理の2人(堀岡は今日限定の緊急登板らしい)がもしかしたら前回のピッチングを反省して僅差で使えるかもしれないテストをしながら、持ち前の積極采配で8回裏に1点差まで追い上げた。うまく捨て試合を作ったと思うし、責められるべきは継投云々の前に3回途中で降板させざるをえなかった先発投手だろう。

 

宮本コーチの談話によれば、大竹が堀岡と交代で上がってくるらしく、まだ宮國と藤岡にはチャンスをあげる、ということなのだろう。少なくとも1度登板が飛ぶ田口の代わりの先発が上がってくるまでにどれだけ良い投球を見せられるのか、彼ら2人にとって非常に大事になってくるし、もしかすると最後のチャンスかもしれない。

 

長くなってしまったが、監督やコーチの意図を全く汲み取らず、表面上の結果だけを見て条件反射で批判をするのだけはやめていただきたい。これは別に巨人だけに限った話ではなく、監督批判を毎日行う野球ファンにも提言したい。少なくとも12球団の監督は1ファンに過ぎないあなたより現場のことを何十倍も理解しているという大前提を忘れないでほしい。

 

そういえばデラロサがアクシデントで途中降板ということになってしまった。どこの球団も主力の怪我人が目立つ悲しいシーズンである。彼が無事であることを祈る。

vs DeNA ●3-5 こういう日もある

なんか書きたくなったので久しぶりに

 

メルセデスが6回途中降板、リリーフ足りなくなるんじゃないかと思ったが、澤村が案の定制球を乱し、右2人に高木京を投げさざるをえない状況を作って逆転負け。

 

ただイライラしたのは澤村が四球を2つ出して降板したシーンぐらいで、高木京介が打たれたのも、3点取ってから抑え込まれたのも、しょうがないと思う。

 

櫻井が降板したあと打ち崩せそうだったのは山崎ぐらいで、パットンは岡本が三球三振した時点でノーチャンスだったし、ビハインドで登板した伊勢、平田、石田が特によくやっていた。

 

上位打線も流石という怖さだった。DeNAの強みが出たね。

 

高木京も打たれはしたが、そもそも右の強打者が続いている場面で投げる投手ではないというのは去年から見ていても明らかであり、誰がどう見ても8回にヒットならまだしも下位打線という楽な場面を投げさせてもらいながら、四球2つ与えて降板した背番号15番の人に問題がある。

 

打線は開幕から働いていたし、リリーフがしっかりしていれば勝てた以上責められない。強いて言うならミスショットが多くガチャ成分の高い陽岱鋼より、パーラやウィーラーを5番で試してもいいかな、ぐらい。彼を5番で使うにはあまりにも信用がない。

 

問題点を挙げるとすれば、まずは去年から恒例のメルセデスの途中降板。イニングを食えた山口俊がいなくなり、信頼できるリリーフが少ない以上、5回1失点投手より6回2失点、7回3失点投手のほうが今の巨人では価値がある。

 

次に接戦で使えるリリーフの少なさについて。ここが今日の主張。

 

今の巨人リリーフは8人いたと思うが、8回(ないしは今日みたいに上位打線でぶつける)には中川、9回にはデラロサ、左のワンポイント気味の高木京介、右のワンポイント兼そろそろ勝ちパターンに来そうな鍵谷、右のガチャマシン澤村、ロングの宮國、藤岡、鍬原。

 

このうち接戦で投げれそうなのが前の5人。宮國と藤岡はこの前原監督がヤクルト戦で試していたが見事に炎上し、その後僅差で登板したことはないと思う。鍬原はまだよくわからないし、これといった投球をしているわけではないので投げさせられない。

 

そうすると、鍵谷、澤村、高木京介の3人に負担が大きくなるし、特に高木京介はいろいろな所で投げさせられている。逆転負けの2試合に彼は絡んでしまっているが、責めるのは酷だろう。特に今日はソト、オースティンという右の強打者相手に投げざるをえなかった。これは他の頼りない投手に問題がある。

 

今日を見ても明らかだが、僅差で投げられないロングリリーフは3人もいらない。去年右のワンポイントで働いた大竹寛がそろそろ1軍に戻ってくるらしいので、おそらく藤岡か宮國が落ちることは確定だろうが、今後も現状僅差で使えそうにもない宮國や藤岡を1軍に置いておくぐらいなら、2軍の投手を片っ端から試してみたほうがいいと思う。具体的には、田原、畠、堀岡、大江、古川、大田あたり。

 

去年原監督は序盤からいろいろリリーフを試すことで、中盤以降、中川デラロサ田口高木京鍵谷澤村マシソン大竹とそれなりに形のあるリリーフ陣を形成することができた。開幕が吉川光大江クックの恐怖の勝ちパターンと考えれば、非常にうまく整備したと思う。

 

その中で、今年の宮國藤岡爆発事件のような負けもいくらかあったと思う。しかしあのヤクルト戦の原監督の采配を責めるのはナンセンスである。序盤から中盤にかけて選手をどんどん試していかなければ、一部の投手に負担がかかり続け、壊れるだけだ。久保山口鉄西村マシソンから得た教訓を原監督は忘れてはないだろう。

 

ペナントレースは全勝を目指すゲームではない。今年でいえば70勝50敗ぐらいが優勝ラインと考えれば、少なくともあと47試合は落とせるわけである。この47試合をうまくつかうべきだし、原さんは大局を見据えて戦ってくれる監督だろう。期待しています。

 

今の巨人のチーム状況を考えれば普通に起こり得た負け方。というわけで、そこまでカリカリしないで明日に切り替えていきましょう。こういう日もあるよ。

 

そしてこういう大事な時にいないのが戸根千明という男なのである。

永田遼太郎氏の記事から考える、勘違いされる「2番強打者」と「バントの有効性」について

勘違いされる「2番強打者」と「バントの有効性」について

 

number.bunshun.jp

という記事を読んで、やるせなさと、ちょっとした怒りを覚えたので、これらに関する自分の考えを述べたいと思う。

 

本当は、統計をきちんと用いたり、ちゃんと本を読んで、詳しく書きたいが、ちょっと怒りをぶつける程度なので、少し大雑把に述べる。

 

そもそも「2番強打者」が最近流行っている理由とは何か?

 

セイバーメトリクスという考えが、野球界に徐々に浸透しつつある今、旧来、常識とされてきたことが覆され始めている。

 

その一つが、「2番に小技ができる選手を置くのが正しい」という考えである。

 

この源流となったのは、俺の記憶が正しければ、前人未到のV9を達成した名監督、川上哲治だろう。

 

それまで、三原監督の”流線型打線”、鶴岡監督の”400フィート打線”、など、様々な考えをもって、打線は組まれてきたはずなのだが、川上哲治が文句のない結果を残したことによって、2番に小技がうまい、バントがうまい選手を置くのが自然と当たり前になってきたと思う。

 

もちろん、古来の野球において、2番に小技を置くという考えがあったことには違いないが、プロ野球黎明期の強力打線の一つ、阪神タイガースの”ダイナマイト打線”の並びを見ると、2番バッターに、ミスタータイガース藤村富美男”、シーズン3塁打の記録を持つ”金田正泰”が座っているし、1950年代前半の巨人打線を見ても、”千葉茂”といった、強打のセカンドが2番に座っていることからも、そこまで主流な考えではなかったことは明らかである。

 

この当然となっていた常識を覆したのが、近年、セイバーメトリクス、野球を統計的に分析したことによって明らかになった、「2番にチーム最強打者を置くことが一番得点効率がよい」、という分析結果、「2番最強打者論」である。

 

 

”論”とは書いてあるが、論もなにも、これが絶対の正義である。もっと簡潔に言うと、上位打線にチームでよいバッターを並べるのは、統計学を用いずとも、確率を考えれば当たり前である。

 

なぜか?

 

野球の試合で最もノーアウトで回ってくるバッターは誰か?1番バッターである。

 

つまるところ、効率よく得点を取る方法は一つ、1番から始まる攻撃を、一番点が入る並びにすることであり、小技ができる云々の前に、打てる打者を並べるのが得点効率がよいのは絶対的に明らかである。

 

 

よく勘違いされていることの一つとして、じゃあ2番に”井端弘和”(元中日、中日黄金期を支えた名ショート。小技が非常にうまい選手だが、率も残せた)のようなバッターを置くのもダメなのか、否、そういうことではない。

 

 

俺が思うに、”2番最強打者論”から得られるTipsは、とりあえず2番に最強打者を置くこと、というよりは、上位に打てる選手を並べろ、ということである。

 

例えば、2005年の井端弘和は、.323という高打率もさることながら、OPSも.800を超えているし、彼の全盛期の成績を見ても、平均してOPS.750前後の数字は残している。この値は、それぞれのリーグの平均にもよるが、悪くない。もし、全盛期中日の2番打者として最も適正が高かったのは、”福留孝介(現阪神)”だったことは自明であるものの、別に、井端を2番に置いたからと言って、急激に得点効率が落ちるわけではない。

 

だがら、落合監督時代を代表する上位打線の4人、荒木雅博(元中日、中日黄金期を支えた選手であり、盗塁王の常連)、井端弘和福留孝介T・ウッズ(元横浜・中日、歴代でもトップクラスのHRバッター)をどのような順番で並べようが、そこまで得点効率が変わるとは思えない。大事なのは、この4人を固めて並べる、ということである。

 

話が少し逸れてしまったが、ともかく、セイバーメトリクスの浸透、そして上記で述べたような簡潔な合理性によって、「2番最強打者論」は、MLBNPBなど、野球界のトレンド、常識ともなりつつあるし、今年のプロ野球でも、読売ジャイアンツが2番に”坂本勇人”をおいたり、千葉ロッテマリーンズも2番に”マーティン”をおいたりしている。昔では考えられなかったことだ。

 

”バントの有効性”について

 

もう一つ、セイバーメトリクスで覆された野球界の常識、”バントは、ヒッティングの場合と比べて、得点効率が低い”である。

 

これもよくよく考えれば当たり前のことで、送りバントは1アウトを与えても1点を取りに行く戦術、ヒッティングは、2点以上を取りに行く戦術で、統計を取った場合、ヒッティングのほうが、平均的な得点が高いのは考えなくてもわかることである。

 

しかし、今プロ野球界を見ても、初回に先発投手の立ち上がりが安定せず四球を出す、2番バッターに送りバントのサインを出す、うんざりされられる…こんなシーンが未だに見られるのは非常に悲しいことである。

 

北海道日本ハムファイターズを2連覇に導いた名将、トレイ・ヒルマンは「バントは日本人にとっての精神安定剤だ」という趣旨の発言をしたことで有名である。彼は監督に就任した2003年以降、ビックバン打線、強打の打線を組み続けたが、いまいち結果が出ず、2006年に、2番に小技のうまい”田中賢介”を置くつなぎの野球を志向して、結果を出したという経緯があった。この田中賢介も、3割打てる強打者であったことが、ヒルマンの素晴らしいところであるのだが。

 

なぜ、初回ノーアウトランナー1塁でバントをするのがダメなのか、理由はいくらでも挙げられる。立ち上がりが悪い投手に簡単に1アウトを与える、1アウトランナー2塁のあと四球でランナーが出た場合三振と同意義になる、そもそもバントが100%成功する戦術ではない…など。

 

さらにいうと、2番に初回からバントをさせるということは、打撃における期待値があまり高くないバッターが座っている可能性が高い。今回は1番バッターが出塁していたからいいにしても、もし凡退していたらどうなるのか?おそらく簡単に2アウトになり、3番に座っているであろうチーム最強打者に2アウトランナーなし、勝負しなくてもいい場面で回すことが多くなるだろう。

 

これは初回に限らず、だいたいの場合においてそうである。1点を取りに行く細かい野球をむやみに神聖化する人間が未だに多いのはどうなんだと思うが、ほとんどの場合において、1点を取りに行くより、大量点を狙うほうが、勝利に繋がる可能性が高いことは、小学生でもわかることである。

 

では、このバントが有効な場面とはなにか?少ないケースとはいえ、もちろんある。1 点でも取れば大きく勝率が上がる場面である。

 

例えば、盤石なリリーフ、クローザーがチームに控えていて、1点取れば勝てる確率が非常に高い、9回表ノーアウトランナー1塁のような場面である。もちろん後ろのバッターやバント成功率も考慮に入れるべきだが、多くの場合において、送りバントをしたほうがいいと思う。

 

他にも、例えば味方の先発にエースが登板している、1点リード、もう1点取ればかなり安心して勝てる、みたいな状況だったり、7回2点リードでもう1点取ればやはり安心だ…つまり、大量点を取りに行くよりも、堅実に1点を取るほうがベターな場合である。

 

あとは、ゆさぶることで、”今後のアドバンテージに繋がると考えられる”場合、ここではセーフティバントである。もし打者側にセーフティバントという選択肢があるのであれば、守備陣やバッテリーは当然その可能性を考慮しなければいけないし、その打者がまさかセーフティバントをするまい…と言った場面でも非常に有効である。

 

具体的な例だと、今年の交流戦福岡ソフトバンクホークスvs読売ジャイアンツの初戦、6回2アウト満塁の場面で”甲斐拓也”が虚を突いた見事なセーフティバントを決め、それが大きな点となりチームを勝利に導いた試合である

 

永田遼太郎氏の記事を読んで思うこと

 

以上を踏まえて、上の永田遼太郎氏の記事を読むと、なんだこりゃ、となる。

 

読んでもらえばわかると思うが、ようするに、彼の大まかな論調はこうだ。

 

「8月13日、東京ドーム。北海道日本ハム千葉ロッテの6回表、0-1のビハインドの場面、ノーアウトランナー1塁、ランナーは非常に走塁がうまい荻野貴司、バッターはマーティン。ここで井口監督はヒッティングを選択したが、打球はライナーとなりゲッツーでチャンスを潰してしまった。この井口監督の選択の背景として、以前の試合で、10回裏同点ノーアウトランナー1塁という状況で、マーティンが送りバントを試みて失敗したという伏線があった。だから、送りバントという選択肢が出せなかったし、それを察した日本ハムの守備陣は、内野がチャージをかけてこなかった。この井口監督のヒッティングという采配は、以前の失敗から導かれた、非常に消極的な選択肢だ。この2試合とも勝ったから議論にならなかったが、試合を分ける勝負所で走者を送れない、そうした野球が今後の日本野球にとってどうなのか、という疑問を、イチローの言葉や他の例を引用しながら強調し、結論として、ヒッティングだけでなく、送りバントやバスターも選択肢に入れよう、相手チームとの駆け引きを楽しもう、大味で一発長打や派手な得点シーンばかりが野球の醍醐味ではない。」と述べている。

 

大まかと言いながら、かなり長くなってしまったことに、要約の難しさを感じたのはさておき、いろいろとおかしなところがある。

 

まず、8月13日の試合の場面のチョイスである。

 

もしこのような論調で書きたいのなら、同点の9回表に、ノーアウトランナー1塁でヒッティングをして裏目に出た、といったような場面をチョイスするべきだし、それに対して、送りバントやその他の選択肢もあった、大味な野球はどうなの?という風に展開するべきである。

 

しかし、6回表の0-1、ノーアウトランナー1塁、バッターは強打の”マーティン”、相手投手はそこまで好投手とは言い難い”村田透”、対してロッテの先発は、徐々に信頼を取り戻しつつあるもものの、今シーズン不調の”石川歩”、そしてロッテのリリーフは盤石とは言い難い。

 

1点ではなく大量点がほしいこの場面で、果たして送りバントは選択肢といえるのだろうか?答えは明らかである、ノーだ。

 

永田遼太郎氏は、この場面におけるヒッティングという采配を、以前の失敗からの、消極的な選択肢として批判しているが、そもそも送りバントが選択肢には存在しないはずのこの場面においては、的外れと言わざるをえない。もし批判するにしても、違う選択肢として、”荻野貴司”の盗塁、”マーティンのセーフティバント”を例として挙げるべきだっただろう、そうだとしても、強攻策失敗に対する結果論にしかならないが、まだマシである。

 

しかも、その伏線として、一週間前の10回表の2-2で同点のシチュエーションにおける失敗を挙げているが、どうしても1点がほしいこの場面における、送りバントは特におかしくない。後ろは強打の”鈴木大地”だし、”マーティン”はバントの名手のはずである(確かセーフティバントを何度も決めているはずだ)。

 

送りバントが有効でない場面と、有効である場面を同一視した批判、この2つのシチュエーションに連続性は存在しないはずなのに、勝手に伏線を作り出し、繋げようとするのは、どう見てもおかしい。

 

次に、「ヒッティングだけでなく、送りバントやバスターも選択肢に入れよう、相手チームとの駆け引きを楽しもう、ヒッティング志向の野球は大味で一発長打や派手な得点シーンばかりが野球の醍醐味ではない。」という考え、これもおかしい。

 

理由は簡潔、それを勝手に野球の醍醐味としているのは、永田遼太郎氏のエゴじゃん、ということである。

 

確かにヒッティングヒッティング…ばかりの野球はつまらないし、バントやバスター、盗塁やヒットエンドラン、そういったところに駆け引きは生まれる、という論調は特におかしくはない。

 

しかし、永田遼太郎氏がどう野球を見ているかはわからないが、少なくとも、8月13日のケースを挙げて、「野球が大味になっていくのは嘆かわしい」と述べる彼から見れば、必然的に、現代野球でトレンドとなりつつある2番強打者の論調に従って、今のプロ野球の試合を見れば見るほど、”大味な野球”と感じるシチュエーションは、それが果たして本当に大味かどうかに関わらず、勝手に増えていくだろうと推測される。それで”2番強打者”の風潮に異を唱えようとする、アホくさいとしか思えない。

 

俺は巨人ファンなので、基本的に巨人戦しか見ないが、少なくとも、”2番坂本勇人”の原巨人の野球が大味とは全く思わないし、ロッテ戦はほとんど見ないので確かなことは言えないけれど、井口監督が、大味で単調な采配をするとはとても思えない。

 

監督の采配について、やいのやいのと結果論で意見するのは簡単なことだが、明らかに間違っていることを除き、容易に批判されるべきことではない。一般的な野球ファンが考えているより遥かに、野球の監督というのはたくさんのことを考えていると思うし、むろん、”大味な野球”をやろうとはしていないだろう。

 

一応彼の擁護に回るとすれば、彼は社会人野球もよく見る人間で、社会人野球は短期決戦で、彼の言う野球の醍醐味。バントや盗塁etc…が多く見られる。その彼からすれば、プロ野球は大味に見える、という側面ももちろんあるだろう。しかし、都市対抗などでは、よくエース級の投手が登板するし、守備の上手さ、守備シフトの完成度、内野の連携などといった面で、プロ野球と比べて劣るのは明らかであり、バントの有効性も大きく上がる。これは高校野球にもいえることで、アマチュア野球においては、送りバントはより有効的な戦術として機能してくる。

 

しかし、そういったことにふれずに、彼は本文で、「年間143試合を戦うプロ野球と、トーナメントが主になるアマチュア野球ではそもそも戦い方が違うと言う意見もある。果たしてそうだろうか。人間は習慣の生き物である。143試合、大味な戦いを続けた先に光はあるのか?」と述べている。アマチュア野球を”短期決戦”、プロ野球を”長期戦”という正しいようで間違ったくくりにして、大味な野球を批判するのは、やはりおかしいし、「俺は細かい野球がみたいんだ!」というエゴ、個人的な欲求で、”2番強打者論”に難癖をつけているようにしか見えない。

 

この記事を読んで、「2番強打者」やバントに対する間違った考えをもった人間が増えてしまうのは、非常に残念である。

一体セ・リーグはどうなってしまうのか Part2

 どうなってしまうのか

 

「一体セ・リーグはどうなってしまうのか」を書いてから、2週間ほど経った。

 

あれから、怪我人という不特定要素が絡んできたので、少し修正を加えたいと思う、決して、「あぁこれ当たんねぇから変ーえよ^^」ということではない。決して。

 

見てくれればわかると思うけど、DeNAの宮崎と伊藤に怪我が出た、以外はかなりいい線をついてたと思う。怪我人の予想なんて不可能だし、願うもんじゃないしね。

 

1位 読売ジャイアンツ

 

底は脱した。今日のマツダ終戦は非常によい形で勝てた。

 

打線と先発が仕事をし、リリーフがそこそこ抑えて勝つ、いいときの巨人が戻ってきたと思う。

 

あと、坂本が本当に偉い。

 

上がり目

 

・菅野が復調気配

ゲレーロの好調維持

・岡本の復活の可能性

 

下がり目

 

・中川離脱の可能性

・山口俊が本調子ではない

ゲレーロが急に打てなくなる

・若林、山本がよくない中で、代わりのセカンドをどうするのか

 

2位 横浜DeNAベイスターズ

 

非常にいい形を維持していたが、ここにきて最下位のヤクルトに3タテを食らう。

 

伊藤光と宮崎、本調子ではなかったもののパットンも離脱、伊藤裕が非常にいい形で宮崎の代役を務めているものの、いつまで持つのかわからない。

 

ここに来て先発が非常に不安定なのも気がかり。ただ、3試合炎上したぐらいなので、なんとも言えない。少なくともヤクルトは、打撃という観点で見れば悪くないので。

 

上がり目

 

・伊藤裕がシーズン終了まで今の調子を維持する。

 

下がり目

 

・伊藤裕がシーズン終了まで今の調子を維持できない。

 

3位 広島東洋カープ

 

巨人やDeNAと比べて、怪我人0という奇跡的なシーズンなのにも関わらず、イマイチ勝ちきれていない。やはり3連覇の後遺症、特にリリーフの消耗がとても激しい。

 

野手も、やはりバティスタ次第だな、と感じる。今日の坂倉3番起用は明らかなミス。今年の広島はバティスタが打てないと点が入らない。

 

上がり目

 

バティスタが復調する。

・投手陣がどうにかなる。

 

下がり目

 

・投手陣が崩壊する、というかもうしかけている。

 

4位 阪神タイガース

 

今の阪神タイガースは、相手の先発が強いと負ける、弱いと勝つ、わかりやすいチームではある。

 

ここにきて糸井が離脱してしまったのは痛いものの、投手陣は一番安定している。怪我人続出のDeNA、投手陣ボロボロの広島次第では、Aクラスはありうる。

 

ソラーテは…どうするんだろう?

 

上がり目

 

・特になし

 

下がり目

 

・特になし

 

まとめ

 

・優勝の可能性があるのは、巨人、DeNA、広島。それぞれ70%、10%、20%ぐらい。

・巨人は、底を脱しており、投手、野手を見ても、DeNAや広島と比べて分がある。苦手なマツダ3連戦をいい形で終えれたのを見ても、調子は悪くない。

DeNAは何度もいうように怪我人の存在が非常に痛手、予想を大幅に下方修正せざるをえない。

・広島は、やはり懸念したとおり、投手陣崩壊のカウントダウンが始まっている。緒方監督は、バティスタと心中する覚悟が必要、ただ、今日を見る限りその心意気はなさそう…

阪神は、なんとも言えない。相手が落ちてくるのを祈る感じ。

 

巨人→1~3位

DeNA→1~4位

広島→1~4位

阪神→2~4位

 

あと

 

怪我人は本当に誰にもわからない。例えば、坂本と丸が両方離脱することだって全く起こり得ないわけじゃない。

 

今年のセ・リーグが特に魔境で、予想もクソもないような展開が続くので、楽観はできないです。本当は巨人90%と自信をもって書きたかった。

2019/07/28 vs 阪神 ○16-4 らしい勝ち方と2番山本の疑問

やっとらしい形で勝てたが

 

相手の先発をノックアウトする、今年の巨人ライクの形で勝利をおさめた。

 

今までの鬱憤を晴らすような点の取り方をしており、今シーズン、打線が貧打にあえぐ、ということはなさそうである(拙攻に苦しむことはこれからもありそうだが…)。

 

一方で、1つ懸念があった。今日原監督が2番に山本を置いたことである。

 

 

現在、メジャーでは2番に強打者を置くことが主流になっており、NPBにおいても、セ・リーグはその傾向が強い。最近だと、DeNAが2番に筒香を置いている。

 

理由は単純で、得点効率がいい並びになるから、である。

 

従来、2番には、小技ができる、バントがうまい選手を置くことが多かった。これは、主にV9を達成した川上監督が取り入れた、ドジャース流の考えの影響が大きいとされる。

 

しかし、これが曲解されていったことも事実である。そう、バントしかできない選手を置くようになってしまったのだ。

 

この例はいくらでもあるが、最近でいえば、ソフトバンク、打撃が覚醒する前の、2番今宮だろう。昔の彼は、バント以外はリーグ最弱クラスといってよかった。

 

初回、1番が出塁して、2番今宮が送って、3番以降の強打者に託す。どこも悪くないじゃないか?理想的な攻撃の形じゃないか?という人もおられるかもしれない。

 

しかし、1番が出塁しなかったら?2番今宮は安牌なので、高確率で、2アウトランナー無しで3番に回る。そして、この3番と全く勝負する必要はなくなってしまうし、仮に塁に出たとしても、2アウトな以上、それが点に繋がる確率が低い。

 

もし、2番にバントをできる選手を置くにせよ、安牌にならない程度、最低でも、OPS.750は欲しいところである。それ以外なら、2番を下位に置いて、3番以降を1つずつスライドさせたほうが、100%、得点効率がよくなる。

 

いやいや、ソフトバンクはそれで勝てていたじゃないか。勝っているのから正しいのではないのか。違う、2番に最弱バッターを置いても勝ててたほど、ソフトバンクが強すぎただけで、ちゃんと打線を組めばもっと勝てていた。

 

2番バントマンの源泉である川上監督も、もっとまともに打線を組んでいれば、より勝てていた可能性が高い。よく勘違いされるが、V9時代の巨人は、王長嶋という歴史上でも最強クラスの2人の絶大なアドバンテージで勝っていた、打撃のチームである。0ではないにせよ、緻密な野球を行っていたから強かった、わけではない。

 

前置きが長くなってしまったが、2番にバントマンを置くにしても、最低でもそこそこ打てるぐらいのバッターを置きたい、置けないなら、チーム内の強打者を2番以降で並べるのがベターである、ということである。

 

その観点からいえば、2番山本は、別にバントがうまいわけでもなく、打てるわけでもない、つまり、ダメである。

 

 

しかし、今まで否定的な観点で見てきたが、1つだけ、2番バントマンが許される場合がある。それは、チームの投手力が非常に強力な場合である。

 

統計によって、バントは、そのバッターのOPSが.550程度(投手クラス)でない限り、得点期待値がバッティングより劣ることが明らかになっている。

 

しかし、俺の記憶が正しければ、同点の9回以降なら有効というデータもある。

 

この2つのことを考えると、(バントが非常に高い確率で成功するという前提で)、1点を取りにいくなら、そんなに悪くない、大量点を狙うなら論外、ということである。

 

一点を取りに行く野球、これと強力な投手陣は噛み合っている。

 

では、今年の巨人が強力な投手陣を有しているか、全くのノーだ。

 

 

つまり、どの観点から言っても、2番山本は間違っている。

 

 

今日、山本の打席の内容があまりよくなく、今年の原監督がすぐに打線をいじる傾向がある。早く、2番坂本や丸、最低でも若林あたりに戻してくれることを願う。

一体セ・リーグはどうなってしまうのか

今年のセ・リーグはおかしい

 

巨人、阪神、中日はわかる、ヤクルトもまだわかる。

 

しかし、実質16連敗したDeNAが2位、11連敗している広島が3位、こんなおかしなことは初めて見た。

 

加えて、一時は2位に10,5ゲーム差をつけていた巨人がたったの一週間で3.5ゲーム差、一体何が起こっているのか。

 

もはや、常識というものが全く意味をなさない中で、それでも、現状からどうなっていくのかを、軽く分析していこうと思う。

 

なお、独断で、分析するのは、巨人、DeNA、広島、阪神とする。

 

中日とヤクルトはもうないです。周平が離脱しなければ中日は書いてた。

 

巨人

 

今の巨人のチーム状況は最悪といっていい。

 

今年の巨人は、相手先発を打ち崩し、こっちも先発が6回ぐらいで降板してリリーフがちょこちょこ失点しながらも、5-4ぐらいで逃げ切る、というのが大まかな勝ちパターンである。

 

つまるところ、今年の巨人は打撃のチームなのである。

 

その中で、直近8戦に目を向けると、(ヤングマンと古川は論外として)、先発が試合を作り、リリーフも通常運行といっていい中で、全く打線が機能していない。

 

ヒットは出ている。たくさんチャンスも作る。でもあと一本が出ない、これが8試合ずっと続いている。

 

上がり目

 

・得点力の向上。これがずっと続いた上でヒットまで出なくなる、というのはちょっと考えにくい。

 

下がり目

 

・投手陣の崩壊。山口俊以外に6回を投げきれる先発がいない。先発5番手以降が不透明。一番リリーフを酷使していない球団だったが、ここにきて田口が9連投するなど、一部の投手に対して明らかに負担がかかっている。

 

DeNA

 

現在、非常にチーム状態がいい。

 

ホームラン以外で点が取れなかった打線が、2番筒香にして以降、機能するようになり、集中打で点を取る形が散見される。

 

先発も、今永濱口平良が安定していて、上茶谷や大貫、石田のときも現状打線が噛み合って勝てている。

 

リリーフも、たくさん使っているように見えるが、今永が完封したり、打線が大量に点を取ることで、現状休ませることができている。今年のラミレス監督や投手コーチの運用は見事。ヤクルトの小川監督も見習ってほしい。

 

上がり目

 

・去年新人王と結果を残した東が帰ってくる。

 

下がり目

 

・打線が出来すぎ。こんなに効率よく点を取れる状況は長く続かない。

 

おそらく、一番投手陣が崩壊しない球団であると睨んでいる。

 

広島

 

こちらも、非常にチーム状態がいい。

 

最初の4連勝は、明らかに出来すぎでここから落ちていくだろうと考えていたが、現状強いチームの勝ち方になっている。

 

問題は、出来すぎだった巨人戦、周平抜きの中日戦、最下位のヤクルト戦、今のウインストリーク、当たり運がいいのもあるし、なにより得点効率が良すぎること。

 

8月上旬の3週間、巨人、DeNA阪神とたくさん当たる期間、ここが広島の命運を大きく左右すると思う。ここを上手く勝ち越すことができれば、優勝の目がある。

 

上がり目

 

・なし

 

下がり目

 

・リリーフが酷使気味。去年支えていた一岡と中崎がおらず、遠藤、フランスア、レグナルトに非常に大きな負担がかかっている。ジョンソン以外の先発陣も不安定。巨人と状況が似ている。

 

阪神

 

俺は開幕から、阪神は他の球団次第であると言っていた。

 

理由は、阪神というチームは、リリーフが強力で、打線がよくないから。相手チームの打線が調子がよければ勝算は低いし、よくないならリリーフ勝負に持ち込めるので勝算は高い、つまり相手チーム次第。

 

上がり目

 

・ソラーテが大当たりの可能性。

 

下がり目

 

・ソラーテが大外れの可能性。

 

ソラーテをショートで固定+ソラーテが去年のソト並に後半戦打ちまくる、のであれば優勝の可能性はある。ちょっと高望みしすぎなので、広島次第。DeNAより上の順位に来ることはない。ゲーム差を考えると巨人も可能性が低い。

 

まとめ

 

・優勝可能性があるのは、巨人とDeNA。現状では巨人有利。

・巨人の投手陣が崩壊する可能性が普通にあるので、一週間前ほどの楽観視は全くできない。

・今の広島はいいときの巨人の下位互換チーム。ただ、なぜか巨人相手だとなぜか相性がいいので、DeNAが沈むようであれば、優勝の可能性は残る。

・ただ、よほどのことがない限り、広島がDeNAの上に来ることはないと思う。DeNAの得点力がガクンと落ちる可能性より、広島の投手陣が崩壊する可能性のほうがはるかに高い

 

巨人→1~3位

DeNA→1~2位

広島→2~4位

阪神→3~4位

 

あと

 

NPBの日程おかしくないか?特定の球団と全く当たらないと思えば、1週間で再会したり、どうなっているのか。

2019/07/26 vs 阪神 ●2-4

うーん?

 

最近、本当に流れが悪い。広島3連戦以降、今年の弱い時の巨人が顔を出している。

 

しかし本当にそうなのか?ちょっと客観的に見てみよう。

 

今年の巨人の勝ちパターンは、相手先発を打ち崩し、できるだけ点差を引き離して、リリーフがちょこちょこ失点しつつも、リードを守りきり、勝ち、これが本当に多い。

 

ここ7試合の巨人は、チャンスを作りながらも点を取れず、逆に相手に効率よく点を許す、そもそも先発が試合を作れなくて初回でゲームが終わる。

 

後者はしょうがない、打線どうこうではないし、ヤクルト戦の負け越しは必然だったと思う。

問題は前者だ、こういう試合で、今まで巨人はチャンスでしっかりと打っていたし、今年のリリーフでもセーフティリードといえる点差を作っていた、しかし、広島3連戦はそれができなかった。

 

1戦目は5点のリードを奪ったが、大瀬良の出来を踏まえればもうちょっと取れたはずだ、2戦目と3戦目は目を覆いたくなるような拙攻だった。

 

今日の阪神戦は、いつ菅野が爆発してもおかしくなかったし、相手先発は好投手高橋遥なので、そんなにおかしくはない。相変わらず打線はちぐはぐだが、阪神打線にも同じことが言える。

 

 

そう考えれば、この3連敗は、ある意味で必然の負けといえる。

 

問題は明日の今村、桜井だ。この2試合はかなりキーポイントになると思う。

 

なぜか?彼らは山口俊についで安定している先発投手だし、そこまで大崩れすることはないだろう、西は好投手だが、今まで巨人はそこまで苦としていない。

 

もしこの2試合、対広島のような戦いぶりをすれば、あるいは両先発が大炎上して負けてしまうのであれば、いよいよ1位の座が危うくなってくるだろう。